株式会社トンボ鉛筆

1. 概要

株式会社トンボ鉛筆の公式ウェブサイトは、創業1913年の老舗文具メーカーとしての伝統と革新性を両立させた企業サイトです。2019年にリニューアルが実施され、より使いやすく、よりわかりやすいWebサイトを目指してデザインが一新されました。スマートフォンからも快適に利用できるレスポンシブデザインに対応し、同社の豊富な商品ラインナップと企業情報を効果的に発信しています。サイトは商品情報を軸とした構成となっており、「書く」「消す」「貼る」という文具の基本機能に対応した製品カテゴリーを明確に分類。MONO消しゴムやPiTのりなどの代表的なブランドから、新しい商品まで幅広く紹介しています。

2. 構成

ユーザビリティを重視したクリーンで機能的な構成が特徴です。メインナビゲーションは商品カテゴリーを中心に設計されており、「筆記具」「修正具」「のり」の3つの主要カテゴリーが明確に区分されています。サイト構成は階層化された情報アーキテクチャを採用し、トップページから商品詳細まで3クリック以内でアクセスできる設計になっています。ヘッダー部分には企業ロゴと主要なナビゲーションメニューが配置され、フッター部分には会社情報やソーシャルメディアリンクが整理されています。コンテンツエリアは、商品紹介、ブランド紹介、企業情報、お知らせ・プレスリリースの4つのセクションに大別され、それぞれが独立したページ群として機能しています。

3. FV（ファーストビュー）

ブランドアイデンティティを効果的に表現する洗練されたデザインとなっています。画面上部には同社の象徴的なトンボマークが配置され、創業100周年を機に復活したトンボモチーフが企業の伝統と革新を同時に表現しています。メインビジュアルは季節やキャンペーンに応じて変更される動的な構成を採用し、主力商品やブランドを効果的にアピール。特にMONOブランドやPiTシリーズなどの代表商品が大きく取り上げられ、ブランド認知度の向上に貢献しています。ヒーローセクションには「知的活動を完璧にサポートする」「思い通りの『貼る』へ導く」といったキャッチコピーが配置され、同社の製品価値と企業姿勢を明確に伝達しています。

4. テイスト

日本の老舗企業らしい品格と現代的な洗練さを両立させた「モダン・クラシック」スタイルを採用しています。全体的にミニマルで清潔感のあるデザインが特徴で、過度な装飾を避けながらも温かみのある印象を演出しています。色彩設計は企業カラーである青系統をベースとし、白を基調とした清潔感のある配色で統一。商品画像や写真は高品質なものを使用し、製品の質感や使用シーンを丁寧に表現しています。デザイン全体に一貫性があり、企業サイトとしての信頼性を重視しながらも、文具という親しみやすい商材にふさわしい親近感のあるトーンを維持しています。

5. コンセプト

「知的活動を支える道具としての文具の価値」を中核に据えています。単なる商品紹介サイトではなく、文具が人々の創造性や学習活動にどのように貢献するかを伝えることを重視した設計となっています。「楽しむ」「再生する」「見る」「知る」という4つのキーワードでコンテンツを分類し、商品の機能性だけでなく、使用体験や環境への配慮も含めた総合的な価値提案を行っています。特に環境配慮商品には「グリーントンボ」マークを設定し、持続可能性への取り組みを明確に表現しています。創業110年を超える企業の歴史と伝統を大切にしながら、常に革新的な商品開発に取り組む企業姿勢をサイト全体で表現することをコンセプトとしています。

6. ターゲット

学生・教育関係者・オフィスワーカー・クリエイターという4つのセグメントに設定されています。特に学童文具から専門的なアート用品まで幅広い商品展開を行っているため、年齢層も幅広くカバーしています。BtoB顧客に対しては総合カタログや製品仕様の詳細情報を充実させ、一般消費者に対しては商品の魅力や使用方法を分かりやすく伝える構成になっています。教育機関や企業の購買担当者向けには、環境対応商品の情報や大量購入に関する情報も整理して提供しています。デジタルネイティブ世代に配慮したスマートフォン対応や、シニア層にも配慮した見やすいフォントサイズと明確なナビゲーション設計を採用しています。

7. 見出し

階層構造を明確に示すタイポグラフィを採用しています。h1見出しは太めのゴシック体で大きく表示し、企業名や主要商品名に使用。h2、h3見出しは段階的にサイズを小さくしながらも、十分な視認性を確保しています。商品カテゴリーの見出しには、それぞれの商品特性に応じたアイコンが併用され、視覚的な理解を促進。ブランド名の見出しでは、各ブランドの個性を反映したカラーリングやフォント処理を施し、ブランド識別性を高めています。見出しの階層化により、ユーザーは必要な情報に素早くアクセスできる設計となっており、特に商品検索時の利便性向上に貢献しています。

8. あしらい

企業のシンボルであるトンボモチーフを効果的に活用しています。ページの随所にトンボの形状をモチーフにした装飾要素が配置され、企業アイデンティティの統一を図っています。商品紹介部分では、使用シーンを想起させる背景グラフィックや、商品の特徴を表現するアイコンデザインを採用。特にMONO消しゴムの青・白・黒のストライプパターンや、PiTのりのカラーリングなど、代表商品の視覚的特徴をサイトデザインに取り入れています。線の太さや角の丸みなど、細部のデザイン要素にも統一性を持たせ、全体として調和のとれた印象を演出しています。

9. フォント/配色/余白

フォント：

日本語にはゴシック系、英語にはサンセリフ系を採用し、高い可読性を確保しています。本文は14px以上のサイズを基本とし、年齢を問わず読みやすい設計となっています。見出しには企業の信頼性を表現する太めのウェイトを使用し、メリハリのある情報階層を構築しています。

配色：

企業カラーの青（#0066CC系統）をアクセントカラーとし、ベースカラーには清潔感のある白（#FFF）とライトグレー（#F8F8F8）を採用。商品画像の背景には純白を使用し、商品の色味を正確に表現することを重視しています。

余白：

「読みやすさ」を最優先に設定されており、行間は1.6倍、段落間は2em以上を確保。コンテンツブロック間には十分な余白を設け、情報の整理と視認性向上を図っています。

10. まとめ

式会社トンボ鉛筆の公式サイトは、シンプルで洗練されたデザインは、ブランドイメージと合致しており、ユーザーが快適に情報を得られるよう配慮されています。FVでの製品の魅力的な提示、ニュースセクションでの最新情報の提供、そしてブランドストーリーや「FUN ART STUDIO」のようなコンテンツを通じて、製品の背景にある価値や、それを使うことで得られる体験を伝えていると思います。ターゲット層を意識したコンテンツ配置と、視覚的な美しさを追求したデザインは、トンボ鉛筆のブランド力を高める上で重要な役割を果たしていると言えるでしょう。全体として、使いやすさとブランドイメージの向上を両立させ、製品の機能性とデザイン性を効果的に伝えることで質の高いウェブサイトであると思います。